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2007.03.19

ゆうべ、テレビにピラルクが映ったので

久しぶりに本棚から開高健の「オーパ!」を引きずり出してきました。

「オーパ!」は1975年のある日、釣り好きで知られる開高の「フィッシュ・オン!」を読んだサンパウロ在住の作家・醍醐麻沙夫が「アラスカのキングサーモン釣りもすばらしいが、ブラジルには世界最大の淡水魚・ピラルクがいるし、すばらしい闘志を見せる黄金色のドラドもいる。ピラニアや大ナマズもいる。えさ釣り・ルアー釣りなんでもできる。世は国際時代。ブラジルで釣らずして釣り師といえるでしょうか」と、そそのかすところから始まります。それを受けて1977年の8月から9月、その醍醐と企画を買った『プレイボーイ』誌の編集部員・フリージャーナリスト・カメラマンを加えた開高一行によるアマゾン川流域釣り紀行の連載をまとめたのが本書です。のちに南北アメリカ大陸縦断の「もっと遠く!」「もっと広く!」、世界各地での釣り(ばかりではないが)紀行「オーパ、オーパ!!」シリーズへと続く最初の1冊。ちなみに、ブラジルでは驚いたり驚嘆したときに「オーパ!」と言う、らしい。

私がこの本を買ったのはおそらく1983年頃。読んだ当時に少々古風な言い回しと感じた文体は、いま読むと不思議と新鮮。壽屋(現・サントリー)のコピーライター出身ゆえか、独特のリズムがある文章はスルリと読ませるけれど、減り始めている動物や魚のこと、畑か牧場か、ともかく人間のために焼かれているジャングルに感じる不安、半島で少年時代を過ごし、戦後にブラジルへ移り住んだ日本人に「日本はもう戦争をしませんか」と問われる場面などなど、現在に直結している事象が多々あって考えさせられます。

篠山紀信門下のカメラマン、高橋昇の写真がまたいいです。旅と釣りの日常を淡々と切り取っているのが、かえって印象を強くしていますね。ドラド(鮭そっくりで歯がすごい)が、あまりに速く行って戻ってジャンプしたために竿先から魚の口へまっすぐから延びているはず糸が、空中で左右へ、さらに水面近くで上下へと大きく形を変えた瞬間、ピラルク釣りの餌である小魚が頭と骨を残してピラーニャ(ピラニア)に食べられたにもかかわらず生きて動いていたというもの、さまざまな動物や鳥、人と村や都会、ジャングルと川。

行間全角・余白たっぷりに組んだ文章、素直に配置された写真、シンプルな章タイトル周り、がっしりとした造本。読む・見るに集中できる、こういう本をこのところ手にしてないなあ。技術書だの雑誌だの、即物的なのばっかし。

ところで、「体のあちこちにガタが来始めたオッサン」と20数年前に読んだ際に認識していた開高健。開高がブラジルでピラルクと対面していた1977年当時の年齢を自分が超えているのを久しぶりに「オーパ!」を読んだ結果、知ってしまったのが最も「オーパ!」なできごとでありましたとさ。

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