書籍・雑誌

2005.06.03

リスペクトしあう関係

日刊デジクリ6月1日号(#1759)編集後記で編集長の柴田氏が誉めていたので、「快適・WEBクリエイター生活 フリーで年収1,000万円稼ぐ方法」を読んでみました。

書いてあるとおりにやれば1,000万円稼げるというより、無用のトラブルを回避する方法やトラブルを種のうちに潰す方法、そのためのコミュニケーション術が書かれています。読めば今年から1,000万円稼げるわけじゃあない(^^;

なので、タイトルは「快適・WEBクリエイター生活」となっていますが、内容的にはDTPオペレーターだろうがCGクリエイターだろうがライターだろうが、すべてのフリーランスに、ほぼ当てはまると思います。

さて、筆者の栗原氏が何よりも大切にしているのは「担当者をパートナーとして考え、担当者の能力や時間をリスペクト(尊敬・尊重)する。そして、自分をそう捉えてもらうよう相手に対しても同じことを望む」こと。そして、自分がリスペクトされていないと感じるお客からの仕事は「申し訳ないと思いつつも、すべて断る」と言い切っています。

これ、私も常日頃考からえていることです。
だから、よく言われる「あとは印刷屋に放り込んで云々」というのも大嫌い。自分ができない何かをできる誰か、に対する敬意や尊敬がまったく感じられません。そんなこと言ってると、自分が「あとはアナタがなんとかしてね」なんて言われることに。

ま、それはともかく。
過去において、自分をリスペクトしてくれない相手からの仕事をすべて断ったかというと必ずしもそうではなく、その結果は、足元を見られて安く買いたたかれたり、最初に確認しあった金額を仕事が終わったあとに値切られたり、無茶な仕事量を無茶なスケジュールでやらされるなど便利に使われたり(や、正当な報酬が伴えば納得してやることもありますけどね)。

リスペクトされていると感じる相手からの仕事は、スケジュールが少々きつかろうがなんだろうが、いまの自分が提供できる最大限のことを惜しむわけにはいきません。「わたし」に仕事を依頼していただく意味、を考えずにはいられませんから。

本には、「どんなに苦しくても『仕事をください』と言わない」ともあります。前述の、互いにリスペクトしあう関係が崩れるから。ああ、言ったことあるなぁ....。その後の展開は自明ですが(^^; 似たようなこととして「目先の売り上げに飛びつかない」ってのもありそう。経験上、ロクなことになったためしがありません。売り上げは立っても利益が出ないこと多々......。

戦略的な価格というのも少なくとも私の経験では意味がなかったなぁ....。商社やメーカーの1円入札みたいなこと(ここまで極端じゃないですが)は、「安く使えるヒト」というレッテルを貼られるだけでした。最初っから自分の適正価格で見積もりを出し、それが通らず妥協点も見いだせなければお断りするべきですよねぇ。あとでしょーもない苦労をするのは自分ですから。いつだったか私のサイト経由で問い合わせがあり、見積もりを出したら「大幅に予算と合わないので残念ながら....」と先方から断られたことがありました。大幅にって、いったい....(^^; いくらならよかったのか気にならないではないですが、そんなもん知ったところで「大幅に」値下げするわけじゃないから、どうでもいいです。

本に書かれていることで、すでにやっていることがいくつかあって。
そのなかのひとつに、メールを出す際に「cc:」がある場合は、メールの本文にも「cc:だれそれ」と書くとよい、というのがありました。以前、ある制作会社からの仕事をやっているときに進行上の確認を制作会社の担当者と社長宛に出したところ、そのメールを出先から携帯電話で見たらしい社長さんが、ご自分宛に送られてきたものだと思われたようなフシがありました。それ以後は本文中に「cc:だれそれ」と書くようにしています。これくらいのことで行き違いがなくなれば、お互いにハッピー。

ほかにもいろんな項目が書かれていますが、文体も易しく、文字組もゆったり(というかスカスカ)しているので、するっと2時間ぐらいで読めました。でも、書いてある中身は、ひとりで働くフリーにとっては大事なこと。実践できていること、できてなかったことを再確認して、いまの等身大の自分を確認するのに、いい本だと思いました。過去のトホホを思い出して軽くへこみもしましたが、基本的に、いま自分が考えていることはそう間違っていないらしい...と思えたし、よかったよかった。あとは実際に1,000万円稼ぐ方法論だけ(なのか??)です(^^;

そのむかし、DTPでのワークフローを会社にいくらプレゼンしても理解されなかったのに業を煮やして個人でDTPを研究しはじめたころから、現場が一方的に苦労しているのはおかしいと思っていました。DTPは印刷物が安くなる「効果」はあるとしても。安くあげるための「手段」ではないはず。お互いをリスペクトしあう関係で川上から川下まで繋がれば、みんながハッピーになれると思うんですがね。理想論なのかもしれないけれど、少なくとも、いま自分と関わりを持っていてくれる方たちとは、そういう関係でいたいと心から思うのです。

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